雨の中で震えていた猫のこと
今日は雨がしとしとと降り続く、肌寒い一日だった。
用事を終えて帰る途中、足元の水たまりを避けながら歩いていると、ふと視線の先に小さな影が見えた。
そこにいたのは、一匹の猫。
びしょ濡れになった毛は体に張り付き、どこか心細そうな目で周囲を見渡していた。屋根のある場所を探しているのか、同じ場所を行ったり来たりしている姿が、なんとも切なく胸に刺さる。
「寒いだろうな…」
そう思いながらも、すぐに何かできるわけでもなく、ただ立ち止まって見つめることしかできなかった。人の足音がすると少し身をすくめ、それでも逃げる元気すらないようだった。
しばらくして、猫は建物の隅にできたわずかな影に身を寄せ、体を小さく丸めた。
その姿を見て、雨の日の厳しさは、人間が感じている以上に、外で生きる小さな命には重くのしかかるのだと改めて思い知らされた。
その場を離れながらも、あの猫のことが頭から離れない。
今ごろ雨は止んだだろうか、少しでも暖かい場所を見つけられただろうか。
何気ない雨の日に出会った、たった一匹の猫が、心に深く残る一日になった。
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